髙橋創平写真展「色彩」feat. REITA Moriya / Feb 10 - 18, 2024
展示概要
これまで自然と共存する喜びを、旅をしながら写真に収め続けてきたフォトグラファー・髙橋創平。この度、鎌倉のギャラリーJohnでは二度目となる写真展「色彩」を開催します。
本展は、これまで髙橋が撮影してきた旅の写真とは一線を画す、新たな境地を表現した作品展となっております。これまでと同様に自然をテーマに掲げつつ、情報としての写真を目で見るだけでなく、心を使って感じてほしいという想いから、自身にとってのフォトグラフィーを再解釈。写真を通して実現できる表現の深度を追求しました。
そのような自身の新たな表現を発表するにあたり、作品のフレームを自身が10代の頃から親交の深い藍左師・Reita MORIYAに制作を依頼。藤沢をベースに活動する、日本伝統の藍と現代左官を世界で初めて融合させたアーティストで、MORIYA氏の制作する藍のキャンバスに、髙橋創平の写真作品が展示されます。
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髙橋創平はこれまで、自身の感性が捉えた旅先での喜悦や一瞬の自然美を、カメラに納めてきた。自身が美しいと捉えた風景を、その感性になぞらえて可能な限り正確に伝える写真は、一種の情報としての写真だと言える。
本展の新作では同じ「自然」をテーマにシャッター切っているが、これまでとは異なり、シャッタースピードを下げ、一瞬を敢えて間延びさせることで時間と光の流れを生み出している。その流線は事象の輪郭をぼやかしてくれ、写真として写る情報までも曖昧にしている。視界がぼやければ目を凝らすように、その曖昧さは鑑賞者の感性を引き出すのだ。鑑賞者は、その引き出された感性で作品が写す「自然」を味わい、受容する。これまで髙橋がとってきた、ある種の一方的なアプローチとは違う角度で、「自然」をテーマに鑑賞者と双方向的に対話を試みているように思える。
そう考えると、髙橋が今回、自身が10代の頃から親交を深めていたReita MORIYA氏に、額装をお願いしたのも理解ができる。藍が自然の色彩であることや、空や海といったイメージに結びつきやすい藍が、時間とともに変化を見せる色彩であることも重要な点ではある。だが、そういった意味付けよりも「単純に今回の作品に合うと思った」と話す髙橋は、MORIYA氏による地産の藍を使った表現を長年傍で見続けており、鑑賞者と自身の輪にMORIYA氏を加えて、共に「自然」に対する対話をしたかったのかもしれない。
自然とはそこに在るもの。理屈や魂胆をこねくりまわすことないその共作もまた、「自然」の成り行きが生んだものである。自身がこれまで解像度の高い輪郭で写し出してきた自然、そして色彩を、なぜこのように滲ませようとしているのかを捉えてみてほしい。
キュレーター:吉本翔(John / WORDS Gallery)
会期
2024/2/10(土) - 2/18(日)
11:00-19:00 *水曜日休廊
プロフィール
髙橋創平
鎌倉市七里ガ浜出身。10代の頃にカメラマンの祖父の影響でカメラを触り始める。祖父から譲り受けた60年代のフィルムカメラ”Nikomart”のシャッターを手探りで切り続け、そのスタートは常に身近にあった自然豊かな鎌倉の海、山、森にフォーカスをあてていった。
二十歳の時にそのアナログカメラと大量のフィルムを持ち太平洋に浮かぶ南の島”ロタ島”に長期滞在し、空と海のある風景、自然と共存する喜びを写し出すことを学んだ。そこから人の心に灯される温かいあかりのような写真をテーマに撮り続け、現在は地元湘南を始めとし国内外問わず活動している。企業やブランドの広告、イベント、雑誌、家族写真、ブライダルの撮影など幅広く活動するフォトグラファー。
https://www.instagram.com/miles_beach/
Reita MORIYA
江ノ島御膝元・藍左師
日本伝統の藍と現代左官を世界で初めて融合させた、初代藍左師。独自の技法でアート制作や建築を行う。鑑賞者の美しい思い出を呼び覚ます、青の表現者。
https://artmoriya.com/